【食事会】コンテンポラリージュエリーについて語ろう
2018年6月28日
てとてと食堂、よろず相談所にも来てくれた、ケンケン 。東京表参道のとあるジュエリーブランドにてオーダーメイドジュエリーのアートディレクターやデザイナーをしています。
そんな彼が、尊敬する先輩であり飲み友達というジュエリストの 嶺脇 美貴子さんをてとてとに連れて来てくれました。
おしながき
二人とも飲むのが好きで、夏めいてきてビールの美味しい季節ってこともあって、少しエスニックなビールに合う料理を捜索してみました。
ラペットゥ
ミャンマーのお茶の葉のサラダを、日本風にアレンジ。
日本茶の旨味と渋みに、ナンプラーの塩味、橙の酸味を加えて、食味に揚げたそら豆をトッピング。複雑だけど箸が止まらない。主役級の先付けです。
栃尾揚げのトラパニ味噌
新潟の特徴的なあぶらげ「栃尾揚げ」に、シチリアのトラパニ地方の伝統的調味料「トラパニペースト」と味噌を合わせた特製のトラパニ味噌を薄く塗って、表面を炙ります。
お酒のアテに最高のおつまみです。
桃モッツァレラ
おなじみの桃モッツァレラ。
夏になると何度となくてとてとの食事会に登場します。美味しいんだこれが。
梅豚ネギの生姜焼き
最近、美味しいと評判のメニュー。もともとは、てとてとの賄いだったメニューです。
冷蔵庫に余りがちな食材で作れる鉄板おかず。酒の魚にもドンピシャな味付け。
スモークした鴨と砂肝
ケンケンがかってきたおつまみを、燻製機で薫蒸して、おしゃれにスタイリング。
スパイスシュークリーム
秘密の香辛料でスパイシーに仕上げた大人なシュークリーム。
焼きたてのシューの軽い食感と、スパイスの香りがベツバラを刺激します。
嶺脇 美貴子さん
嶺脇美貴子さんは、コンテポラリージュエリーというジャンルで活躍するジュエリスト。
ヒコ・みづのジュエリーカレッジで、ジュエリーデザイン、貴金属の加工を学んだあと、同校の講師として勤務することになり、2018年現在も先生をやっています。
「見慣れたものに潜むいい形」をテーマに、日常よく目にするモノや、誰もがよく知ってるモノを、分解し再構築してジュエリーを作るスタイルは、唯一無二。魅力の切り撮り方や再構築のセンスもさることながら、成立させちゃう技術力も凄げえなと思います。
お椀、ライター、コーヒーカップ、大根おろし、リコーダー、ピストル、ウィンカー、ペン、携帯、パソコン、プラモデルやぬいぐるみまで、あらゆるものを分解・再構築している彼女。
お椀を使ったジュエリー
出展:密売東京_ライターの指輪
既製品を分解・再構築する独自のスタイルを突き進むきっかけとなった素材のひとつは、ライターだったそうです。
居酒屋で友人と飲んでいる際に、使い終えた100円ライターをなんとなく譲ってもらって、家に帰ってから斬って、削って、穴を開けて、指輪を作ったそうです。ライターが自分の手の中で、表情を変えて生まれ変わる。そんな体験に魅せられて、ぶった切って分解して、手仕事で再構築するスタイルに邁進することになりったそうです。
そして、譲ってくれた友人にその指輪をプレゼントしたところ、とても喜んでくれたのがすごく嬉しくて、色々なものを使ってジュエリーを作ることに挑戦し始めます。
個人的に大好きなプラモデルぶった切りジュエリー
斬ったり、削ったりする「分解」だけ切り出してみても、簡単な話ではありません。
電動工具や工作機械では回転数が高すぎて、プラスチックなどの樹脂系素材は溶けてしまいます。そのため、全て手作業で糸鋸を使って切断しているそうです。
そして、分解されたパーツに穴を空けたり、磨いたりして、完成させます。
プラモのネックレスなんて、形状がバラバラのパーツの形や色のバランスを見ながら配置して、ワイヤーを使って一つ一つをつなげて、一つのネックレスを作り上げます。発想と着眼点がおもしろすぎて、一度見たら二度と忘れない作品だと思います。
現在、嶺脇さんは国内のみならず、ヨーロッパを中心に海外にもその活躍を広げているそうです。
2008年にspace for your future展/東京美術館所蔵/photo:木奥恵三
ドイツはミュンヘンで開かれる世界的に有名なジュエリーの展示会をはじめ、国際的な場で数々の受賞歴をお持ちのすごい人なんです。なんでも、オランダのフランソワーズ・ヴァン・デン・ボッシュ財団、オーストラリアのパワーハウスミュージアムには、彼女の作品が収蔵されているとか。
国内であれば、東京都現代美術館にも所蔵されています。ジュエリーで、現代美術館に所蔵されてるのって珍しいことらしいです。
鹿のフィギュアぶった斬り
テーブルを使ったジュエリーを、テーブルの上で展示
元エヴァンゲリオン初号機
豆菓子でジュエリー
そんなわけで、最も活躍している日本人ジュエリーアーティストの一人と言える嶺脇さん。そんな彼女とこのタイミングで繋がれたのは、何かの縁でしょう。
ということで、TETOTETO Inc.で進行中のビーンズトーキョーのブランディングプロジェクトへの協力を要請したところ、快く快諾いただき、この度豆菓子を使ったジュエリーを作ってもらうことになりました。
彼女の作るジュエリーを見ていると、ジュエリーって、必ずしも高価な宝石や貴金属を使う必要はないのだなと思い知らされます。
誰かが大事に思うのであれば、それがなんであれ「貴重」なもので、それを身に付ければジュエリーになるということだと思います。今回依頼した「豆菓子」も、一見すればただのお菓子です。
でも、僕ら当事者側からすると、美しい宝石にも負けない、美しさやパワーがあるんです。
そんな想いを嶺脇さんなら、きっと形にしてくれると思います。
素敵な出会いに感謝。
ビーンズトーキョーのプロジェクト進捗はこちら