【てとてと食堂】お茶の入れ方ワークショップ
どーも。僕です。
2016年も残り日数を数えるほどになりました。
今年はいろんな人にご縁をいただいて、いろんな意味で飛躍の一年になりました!
リノベーションしたり、隠れ家カフェにチャレンジしたりとエキサイティングな一年でした!!
そんな一年の締めくくりに、赤坂のお茶屋さん「土橋園」と一緒に、日本茶の淹れ方ワークショプを開催させていただきました。
最近では急須でお茶を淹れること自体少なくなったと思います。
「正しい淹れ方」なんて知らない人の方が多いくらいだと思います。
日本人なのに日本茶の淹れ方も知らないのは、寂しいし、勿体ない…。日本茶文化をもっと若い人にも楽しんで欲しいという思いから、土橋さんはこの他にも色々なイベントを開催しています。
お茶の淹れ方
ペットボトルのお茶が売られ始めてから、久しい昨今。
家でお茶を淹れて飲むという習慣の人は少なくなってきました。
僕もこのワークショップに参加するまで、「正しいお茶の淹れ方」を知らなかったことにも気がついていませんでした。
ちゃんと淹れた日本茶はびっくりするほど美味しいんです。
STEP 1. お湯を沸かす
お湯を沸かします。
一度沸騰させることで、水道水に含まれるカルキを飛ばすことができます。
STEP 2. 茶葉を用意する
沸かしている間に茶葉を用意します。
茶葉は一人前で4g。茶さじに山盛り一杯くらいの量がちょううど4gくらいです。少し多いくらいの方が美味しいと思いますが、自分好みの量を探してください。
STEP 3. お湯を冷ます
お茶が一番美味く抽出できる温度は75~80度くらい。
沸かしたお湯を、湯飲みや湯冷ましと呼ばれる器にとって適温まで下げます。
量にもよりますが、1分くらい放置すると適温になります。
STEP 4. お茶の抽出
茶葉に適温の湯を注ぎます。
そして、30秒くらい静かに待ちます。揺すったり混ぜたりしない。
この待ち時間にお客様とお話するもの、お茶でのおもてなしの大事な儀式のような気がします。
(写真の手に持っているものが「湯冷まし」という器です)
STEP 5. お茶を淹れる
複数人分淹れる場合は、淹れる順番によっての濃度の違いをなくすため、交互に注いでいきます。
最後の一滴まで丁寧に水分を切るようにして抽出液を搾り取ります。
最後の一滴はゴールデンドロップと呼ばれ、旨味が凝縮されているので、客様におお出しする方に淹れるように意識しましょう。
それに、水分が残っているとお茶っぱが酸化してしまい、2煎目以降を美味しく淹れることができなくなってしまいます。
2煎目、3煎目と美味しく淹れるためにも、水分をしっかりきりましょう。
実際に淹れてみる
早速実践です。
ただ実践するのも面白くないので、自分の好みの味を見つけてもらうべく、荒茶、煎茶、茎茶の飲み比べをしました。
お茶屋さんが普段、テイスティングの際に使う道具を使って淹れてもらいました。
(荒茶、煎茶、茎茶を乗せた検盆)
(検品用の急須)
習ったことを忠実に守って淹れると、今までのお茶はなんだったのかと思うほど美味しいんです。
参加してくれたみなさんも驚いていました。
淹れ合いっこもいいものです。
お互いのためにお茶を淹れることで、距離が縮まり、会話が自然と弾み出します。
「お茶を淹れる」それ自体がコミュニケーションになるのだと気がつきました。
それに何より自分で淹れたお茶は美味しいんです!
お茶うけ
お茶のためのお菓子のことを「お茶うけ」といいます。
フードペアリングってやつですね。
この日は、土橋園の抹茶を使った抹茶ロールケーキと水信玄餅を合わせてみました。
日本茶の種類
一口に日本茶と言っても、産地や製法、茶葉の部位によって様々です。
一般的に、日本茶と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、いわゆる煎茶です。
お茶の部位による違い
茶葉は摘み取られたその瞬間から発酵・酸化していきます。ウーロン茶や紅茶は酸化発酵させたものです。
しかし、緑茶はフレッシュな状態の茶葉を蒸し(熱処理する)、発酵を止めるため、爽やかな香り甘さと苦さに旨味が調和した味わいになります。この味わいは日本茶ならではのもの。
蒸された茶葉は、葉の形を整えたのちに、揉むことで水分をほどよく抜いて保存状態をよくします。この状態を「荒茶」と言います。
この荒茶を選別し、細かいものだけを集めたものを「粉茶」、茎だけを集めたものを「茎茶(白折)」、粉と茎を除いたものを「煎茶」と言います。
粉茶の特徴は濃い水色(お茶の色のことを水色と言います)と、パンチのある渋みです。
茎茶の特徴は独特の甘み。
煎茶の特徴はさわやかな香りと、適度な渋みです。
上級品になればなるほど、うまみや香りが高まるとされています。
4月下旬~5月中旬にかけてつくられたお茶のうち一番茶は「新茶」と呼ばれ、毎年楽しみにしているという人もいます。
(煎茶)
(茎茶)
製法による違い
よく耳にする「深蒸し」、「浅蒸し」というのが製法です。
浅蒸しは、深蒸しに対して便宜的につけられた名前で、深蒸しでないものを浅蒸しと呼んでいます。
対して深蒸しとは、通常よりも2倍程度の時間をかけて茶葉を蒸したお茶のことを言います。
ゆっくりと時間をかけて加熱するため、茶葉の中心部にまでしっかり蒸気熱が伝わり、お茶を入れたときに水色と味がより濃くなります。
渋みや青臭さもほとんどなく、とても飲みやすいお茶です。
ただし、長時間蒸すため、茶葉の形が崩れやすく、粉っぽくなります。しかし、その分お茶を入れたときに茶葉自体が含まれやすくなるため、水に溶けないような栄養成分なども余すことなく取り入れることができると言われています。
また、成分が水に抽出されやすいため、水出し茶にも適しています。
深蒸し茶は、茶葉がこまかく有効成分がお湯に溶け出しやすいため、長時間抽出すると味が濃くなりすぎてしまいます。
そのため煎茶などを入れるときよりも、浸出時間は短めにするようにしましょう。
栽培法による違い
「被せ茶」、「玉露」、「露地物」というのが栽培方法です。
露地物とは普通に育てたお茶のことです。
被せ茶とは、茶の木の新芽が数枚開きはじめたタイミングで、茶園に藁や葦簀をかぶせて、日の光を遮断させて栽培したお茶のことです。
旨味成分のテアニンは日光に当たると、苦味成分であるタンニンに変化しますが、一定期間(7日間)日光を遮ることでそれが生成されないため、露地物に比べて甘いのが特徴です。
そして玉露は、被せ茶より長い期間(20日間)覆いをかけて徹底して日光を遮って育てたもののことです。被せ茶よりも甘く、高級品として有名です。
特殊な栽培方法なので、日本国内での生産数はごくわずかで、非常に希少価値が高いお茶です。渋みが少なく、まろやかなうま味や甘みが特徴的で、奥行きのある香りが楽しめます。
日光の光が当たらないため、茶葉が濃い緑色になり、とても鮮やかな水色を楽しめます。
玉露に多く含まれるテアニンは、ぬるめのお湯のほうが溶け出しやすいので、お茶を入れるときは湯冷しを使って、75度くらいのぬるめのお湯で淹れるようにしましょう。
抹茶の作り方
玉露と同じ栽培法で育てられた茶の新芽を収穫して精製したものを、石臼などでひいて粉末状にしたものを抹茶と言います。
いわゆるお抹茶として、古くから茶の湯に用いられてきましたが、最近ではスイーツなどにもつかわれます。
抹茶は煎茶と比べてうまみ成分であるアミノ酸が多く含まれ、タンニンという渋み成分はあまり多くないため、まろやかな味わいが特徴。
茶葉を摘み取ったあとに蒸す工程を入るのは煎茶と同じですが、その後、揉まずに(揉捻せずに)、乾燥させるのが異なる点です。この状態のものを「甜茶(てんちゃ)」といいます。
甜茶を石臼で挽いて粉末状にしたものが抹茶になります。
お茶にはビタミン類やカフェイン、タンニンなどさまざまな栄養素が含まれていますが、食物繊維やビタミンAは水に溶けない性質をもつため、通常は取り入れることができません。
しかし、抹茶の場合は茶葉自体を粉末状にしているため、それらの成分をすべて摂取することができるのも抹茶の特徴です。
摘み取る時期による違い
茶葉は収穫した時期によって、「一番茶」「二番茶」「三番茶」と呼ばれます。
一番茶はいわゆる新茶のことで、その年の最初に育てた新芽を収穫して製造したお茶のことを言います。
一番茶は、二番茶や三番茶などと比べられることが多く、一般的に、二番茶などよりも香りがよく、さっぱりとした味でおいしいと言われます。
一番茶につかわれる新芽を準備するための茶木は、前年の秋から成長を止めて、栄養分を葉や根に蓄えさせます。
この期間で蓄えられた栄養分を外部の温度が上がりきらない時期に、時間をかけて芽に集中させるように成長を促します。
一方、二番茶や三番茶は一番茶の収穫が終わってから、成長をスタートさせます。
この段階では一番茶のときと比べて利用できる栄養素は少なく、さらに気温も高くなっているため成長しづらい環境にあります。そのため、一番茶のほうが栄養が十分行き渡って、おいしいと一般的にいわれています。
三番茶以降は番茶と呼ばれ、市場にあまり出回りませんが、ペットボトルのお茶はこの番茶で作られています。
ちなみに、番茶は一番茶の1/20くらいのお値段で取引されているそうです。
普段何気なく飲んでいるお茶に、こんなに知らないことがあったことに驚きでした。
日本人のくせにお茶の淹れ方も知らないなんて、もったいない!
みなさんも是非、美味しいお茶の淹れ方でお茶を淹れあいっこしてみてください。